9633_「形態は機能に従う」建築的な美には必然性がある
美しい建物を建てたい。そのためには、建物のそれぞれの構成要素、「屋根、壁、床、そして細部」は、必然性を持たなければいけないそうです。「形態は機能に従う」というフレーズは、シカゴの建築家、ルイス・サリヴァンによるものです。サリヴァンは20世紀に出現した鉄骨構造により、建築の構造だけに留まらず、デザインにも変化が起こることを予見したのでした。この『野尻湖ホテル エルボスコ』も、鉄骨構造の美しい建物でした。
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ライブラリの窓からは、森の中の客室棟の屋根が見え隠れします。娘がライブラリから選んだ1冊は『 流星の絆 』。娘が言うには「エルボスコ」のライブラリは、本の数は多くないが、洗練されているとのこと。長野県上水内郡信濃町、 建もの探訪( 2018.08.24) hr.icon
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建築においての「機能主義」は、『建物はその建物の目的に基づき、造られること』という原理です。
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建物の設計で大切なのは、『敷地に合わせる』ことです。『エルボスコ』の客室棟は、野尻湖に突き出す半島に合わせて、細長く「Sの字」に曲がっていて、50の客室があるそうです。
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エントランスのあるパブリック棟から、エレベータで下り、客室棟に向かいます。客室のある1階に着きました。エレベータの正面は、信楽焼煉瓦の壁を背にした、2組の優しい椅子が、『まあ、ごゆるりと』と出迎えてくれます。
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パブリック棟から客室棟までの、長い動線を飽きさせない工夫が、各所各所に散りばめられているのです。具体的には、廊下を曲げる。廊下を曲げることにより、いわば「街角」を作る。
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廊下を曲げることにより、廊下の突き当たりの表情を変える。明るい窓に向いた椅子が並ぶ。あそこには何があるのだろう。
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野尻湖を望むラウンジでした。
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ラウンジの手前を左に曲がり、私たちの客室を目指します。この客室棟は、半島の形状に合わせて「Sの字」になっていて、その「Sの字」を、内部空間の面白さにも繋げています。手が届いてしまう様な、低い天井なこともあいまって、どこかの迷路に入り込んだような、不思議な感じです。「形態は機能に従う」。建築的な美には必然性がある様に思います。
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上の画像の左側が、エレベータからラウンジまでの廊下。エレベータからラウンジまでは、できるだけ短く感じさせる。上の画像の右側が、ラウンジから私たちの客室までの廊下。
逆に、ラウンジから私たちの客室までは、長く感じさせる。そう感じさせる、寸法、量感、照明、空間文法などの配慮こそ、建築のデザインと呼ぶのではないでしょうか。
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20世紀初期に、シカゴの建築家ルイス・サリヴァンは、建築物の寸法、量感、空間文法及び他の特性は、ただ建築物の機能のみによって決定されるべきであるという信念を表した「形態は機能に従う」というフレーズを有名にした。
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これは、機能の側面が満足されれば、建築的な美は自然にそして必然的についてくるということを意味していた。
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「Sの字」の廊下歩いていくと、もう一つラウンジがあり、廊下はまだ続き、その先に目指す私たちの客室があります。客室もまた、素晴らしいものでした。この記事では、その客室まで到着できませんでした。続編に続きます。
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